Hのウラナミ『家族旅行』

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H:ボディーボードがメーンです。一番印象に残っているのは、20年前に入ったエフカイでなぜかパイプの端まで流されて乗ってしまった恐ろしく掘れたデカい波。入社は16年ほど前、ダイヤルQ2で波情報を配信した時代です。今はデスクの仕事が多いですが、波チェックに関しては生涯現役でいたいです!

峠から眺めた夏の甲府盆地

先日高校三年生になる長男のサッカー大会の応援のため、NHKの朝の連続ドラマで話題の山梨に行ってきました。

カミさんと中三の次男とともに1泊旅行です。最近は長男も次男も学校やサッカーが忙しく、夏休みとは言え、なかなか一緒に出かける機会はないので、短いながらも久々の家族旅行となりました。

子どもたちが小さかった頃には、夏休みと言うと、子どもの相手をするために、いろいろと時間を削って、公私ともに大汗をかきながらも、キャンプをして海に入ったり山に登ったりと、楽しい時間をたくさん共有することが多かったのですが、今は子どもたちが徐々に自立して、めっきりそうした機会がなくなりました。

よくカミさんと「少し寂しくなったね」と話すことが多いのですが、これも子どもたちが少しずつでも成長している証と受け止めていますし、今は自分としても他にすることが多く、実際には不可能な状態です。

今、サーフレジェンドの社内では、比較的に若いファミリーが増えていて、赤ちゃんや幼児、それに小~中学生のお子さんを持つスタッフが多数います。彼らの子育てにまつわる悲喜こもごもの奮闘話を聞く機会が多いのですが、とても懐かしく、またとても微笑ましい限りです。

子どもが成長するにつれて、親の手を徐々に離れ、育児の大変さは徐々に薄れてくるのですが、その反面で、お金や人生にシビアに関わるような難しい問題が多数増えてくるものです。

山梨に行くのは13年ぶり。ちょうど長男がまだ幼稚園児だった頃で、次男は本当に赤ちゃんだった頃。当時は辻堂団地に住んでいたので、藤沢市が所有・運営する八ヶ岳にあった小さな山の家を予約して、家族4人でおんぼろでガタガタ言う旧式のマークワゴンに乗って、ドライブした記憶がよみがえります。

たしか当時、前年の1999年に突貫工事でこの世に送り出したiモード波伝説の細部を修正して、また波情報を外部から電話で集めて、全国各地の波情報をひとつのファイルに打ち込んで、すべての情報が揃ってから一括で更新していたシステムを、いつでもどこでも、サーフポイントごとに現場からケータイでテキストを打ち込んで更新できるように、システムを一新した時でした。夏の間は波情報の仕事と、新システムの開発プロジェクトで大忙しでまったく休みが取れず、プロジェクトが完了してから、10月後半の紅葉の頃にほっとして、23日のささやかな家族旅行でした。

当時はモバイルインターネットによる情報配信のシステムはまだ黎明(れいめい)期でとても不安定。道中会社からたびたび電話があり、システムが安定せずに開発会社と何度も電話でやり取りをしながら、幼い子供たちと、若いカミさんを車に乗せて、大雨の中を何度も路肩に止まりつつ、八ヶ岳に向かってひた走ったことが、鮮明に思い出されます。

今では、次男でさえも大きくなり、道中突然トイレに行きたくなったり、おむつが濡れて大泣きしたり、気持ちが悪くなることもなく、音楽を聴いたり、スマホをいじったりして後部座席で静かに過ごし、カミさんは隣で景色を眺めたり、寝息を立てて、のんびりと日頃の疲れを癒している様子です。

そして波情報の配信システムも、今ではすっかり安定していて、何かがあっても、会社には立派な技術者やサポートの人たちが居て、しっかりと対処してくれています。

これまでの年月、公私ともに数えきれないほどの事があったのですが、時が経つのは本当に早いもの。そんな事を漠然と考えながら、湘南からサッカー大会が開催される山梨県韮崎市まで、たった2時間半ほどの短いドライブでした。

大会には全国の強豪校が集い、その選手や学校の関係者・父兄など含めると、ものすごい規模です。スポンサー企業や地元のボランティア・自治体職員・メディアなども集まっていて、僕もカミさんも次男も、ビックリしてしまい、何だかとても落ち着かず、家族三人で小さく固まって応援団の端の方に佇んでいました。

試合が始まり、長男がピッチに立つと、チームの仲間や学校の同級生たちが大声で声援を送ってくれています。25年ぶりのインターハイ出場と言うことで、普段はお会いしたことのない卒業生たちも多数駆けつけて、旧交を温めつつ、母校の後輩たちに熱いエールを送っています。

息子は大会前から足の甲をかなり痛めていて、親としてはどうなるかと気を揉んでいたのですが、立派に役目を果たしています。この大会が終わると、いよいよ進路を決めなくてはなりません。どんな選択をしても、ここからは先は大人として自己責任の世界。自らの考えで道を定めて飛び立つ時が目前に迫っていますが、今はただ目の前の相手との一戦に集中して、家庭ではみたことのない必死の形相でボールを追いかけ、敵と激しくやり合い、仲間たちと大声で鼓舞し合って危機を乗り越えようとしています。

真夏の蒸し暑い盆地での、長いような短い戦いは、やがて後半のロスタイムが過ぎ、待望の全国大会での初勝利で幕を閉じました。チームメートや応援団に祝福されて、ハイタッチを交わしたり抱き合ったりするわが子の姿は、子どもの頃に夢中になって遊んでいた時とよく似てあどけないままです。

試合会場を後にして、峠の見晴らしの良い場所で休憩した時に、少しじんわりとした思いがこみ上げました。もう息子は自分たち親よりも、外に居るさまざまな人たちと出会って、影響され、助けられながら、自分の考えで自分の道を切り拓いて行く年齢になったようです。

いよいよ僕たち家族の旅は、中盤を過ぎて後半一番の上り坂に差し掛かるのだと、しみじみ感じた夏の蒸し暑い午後のひと時でした。

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