唐澤予報士のウラナミ『エルニーニョ』

唐澤予報士

唐澤予報士
唐澤予報士:1991年、沖縄でサーフィンを始める。(スノーボードも開始)  1993年、初めてフルマラソンを完走。1999年、気象予報士資格を取得し登録。現在に至り、一児(娘)の父です。

台風写真

ご存じの方も多いかとは思いますが、気象庁より今年の夏にはエルニーニョが発生し、秋にかけて続く可能性が高いと発表されました。エルニーニョ予測モデルは、エルニーニョ監視海域の海面水温が、夏から秋にかけて基準値より高い値で推移すると予測されており、夏には5年ぶりにエルニーニョ現象が発生し、秋にかけて続く可能性が高いということです。

エルニーニョとは、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米のペルー沿岸にかけての広い海域で海面水温が平年に比べて高くなり、その状態が一年程度続く現象のことです。エルニーニョになると、 太平洋熱帯域で吹く東寄りの貿易風が平常時よりも弱くなり、西部に溜まっていた暖かい海水が東方へ広がるとともに、東部では冷たい水の湧き上りが弱まっています。このため、太平洋赤道域の中部から東部では、海面水温が平常時よりも高くなっています。エルニーニョ現象発生時は、積乱雲が盛んに発生する海域が平常時より東へ移ります。

このように、エルニーニョが起きると、海面水温のバランスが崩れるために、日本を含め世界中で異常な天候が起こると考えられています。西太平洋熱帯域の海面水温が低下し、西太平洋熱帯域で積乱雲の活動が不活発となります。このため日本付近では、夏季は太平洋高気圧の張り出しが弱くなり、低温、多雨、寡照(かしょう)となる傾向があります。

そして、我々サーファーにとって興味があるのが、波についての影響。夏から秋にかけての、日本の波で最大の要因は台風ですが、台風とエルニーニョの関係は以下のようになっています。

  • エルニーニョ現象の発生期間の7~9月は、台風の発生数が平常時より少ない傾向がある
  • 台風の発生位置が、平常時に比べて南東にずれる傾向がある(夏は南に、秋は南東にずれる傾向がある)
  • 夏、最も発達した時の台風の中心気圧が平常時よりも低い傾向がある
  • 秋、台風の発生から消滅までの寿命が長くなる傾向がある

 

ということなので、台風の発生数は多くはないものの、発生すると勢力が強くて寿命が長くなる、という傾向がありそうです。

なので、波情報や概況をしっかりと参考にして貴重な波をはずさないようにしつつ、災害等にも気をつけて、自分の技量を考慮して無理をしすぎないようにする、といった感じになりそうですね。波情報を是非有効に活用して下さい。

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