米山予報士のウラナミ『天気図から波向を知る』

米山予報士

米山予報士
米山予報士/大学を8年で卒業。その間、勉強などせず、山と海で遊ぶか家に引きこもっていました。当然、就職などまともにできるはずがなく、社会人経験もゼロ。なのに30歳になってしまいました。ただ、山のおかげで天気図に興味をもち、サーフィンをやっていたから気象予報士になれたと思います。サーフィンと気象、波情報の業務を精一杯頑張りたいです。

 

波伝説では波情報や概況文の中に「○○うねり」など波向を入れて、皆様にお伝えしていますが、波は風が吹くことにより発生し、波向=風向と仮定することができるので、波向を知るにはその地点に向かう風が吹いている地域を特定することができれば大まかに分かります。

 

地上付近の風は気圧の高い所(高気圧)から気圧の低い所(低気圧)に向かって吹くので、高気圧や低気圧が表現されている地上天気図=風の図でもあります。このため、天気図から波向を知ることができます。

今回は実例で湘南に向かう風が吹いている地域を特定してみますが、遠くからのうねりも把握したいので、なるべく日本付近だけではなく広い範囲が載っている天気図をみるのが良いと思います。(北海道放送 専門天気図 http://www.hbc.co.jp/weather/pro-weather.htmlは天気図が充実しているので、サーフレジェンドでも利用しています。

 

まず図1は、概況文の中でもよく使われる「はるか東海上の高気圧の吹き出しによる東~南東うねり」と「東海上の低気圧による北東うねり」を発生させている風の場を□で囲いました。先ほど、風は高気圧から低気圧に向かって吹くとお伝えしましたが、海上では陸上より摩擦が少ないので、大体、等圧線の向き=風の向きと考えることもできます。高気圧は時計回り、低気圧は反時計回りの風が吹いているので、□で囲った領域は湘南に向かう東~南東風や北東風が吹いていることが分かります。この場合、鎌倉~大磯間では東~南東うねり、西湘の一部では北東うねりが届く要素があるといえます。実際のサイズは波高によって決まるので、これだけでは分かりませんが、どこからうねりが届く可能性があるかを知ることはできます。

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次に図2は、東海上の高気圧から前線上の低気圧へ吹き込む2つの方向の風が湘南に向かっている領域を□で囲みました。左側の□では南西~北東、右側の□では南東~北西の方向に等圧線が書かれています。このため、湘南には南西風による波と南東風による波が届く可能性があることが分かります。また、風の強さは等圧線の間隔により決まり、間隔が狭いほど風が強いので、左側の□による波の方が波高は大きいことが分かります。

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実際の波の予報は数値予報を利用したり、地域の特性を考えたり、天気図をみるだけではできませんが、この波がどこから来てるのかな~と考えながら海へ向ってみてもいいのではと思います。

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