入社してから約4ヶ月、最近は波チェックと波予報のシフトが半々くらいで仕事させていただいています。どちらも伝え方が難しく、どう表現したらいいのかと思うことが多いのですが、特に波の予報は苦労します。
先日の1月14日、15日に湘南の予報を担当したのですが、南岸を発達しながら低気圧が通過し、太平洋側では西日本からサイズアップしていくのはほぼ確実の日でした。問題は湘南では日没までに反応が良くなるのか、それとも翌日に持ち越されるのかです。
私が書いた14日の夕方の予想のタイトルは「過度な期待は禁物ですが、情報の確認を」でした。そして、15日の昼には「日没間際に間に合うかどうか」です。どちらも、あんまり期待はできないけどみたいなニュアンスを狙いつつ、サイズアップする確率もちょっとはあるよという断定するのを濁した書き方です。
数値予報では午後~夕方には反応してくる予定でしたが、南岸を東進する低気圧によるうねりは時間の誤差が大きいのでなかなかアップ!みたいな書き方は勇気がいります。
実際はその日のうちのアップはみられず、翌日に大きくサイズアップして遊べるコンディションとなりました。
このような時に思い出すのは「バタフライ効果」です。これは気象学者のエドワード・ローレンツが講演で『ブラジルで蝶が羽ばたけばテキサスでトルネードを引き起こす』と言ったことに由来します。ようは、風や波などの予報には数え切れないほどの要素が関わってくるため、完璧な予測をするのは不可能という考え方です。
これを言い訳にしたくはなく、やっぱりバッチリ当てたい思っていますが、大切なのはどう伝えるかです。自分はこうなると思うけど、それとは違うシナリオもあるよということを示すことが重要です。完璧な波予報は厳しいですが、いくつかのシナリオを考えることは可能ですので、その中で選択して概況で伝える。
これは災害防止にもつながると思います。2013年の台風26号による伊豆大島の災害や、2014年の豪雨による広島の災害などもそうですが、どんな気象予報士でもあの災害を事前に完璧に予測するのはほとんど不可能です。ただし、最悪のシナリオの中には想定できる部分があったはずなので、確率がたとえ10パーセントで自分の考えと違っても、それをどう伝えるかが少しでも災害を防止することにつながるのかと思います。
当てることはもちろんですが、それ以外の伝え方も磨いて、日々精進してまいりますので、2015年もよろしくお願いいたします。