予報士 hiro.のウラナミ『カミナリの復習』

予報士 hiro.

予報士 hiro.
予報士 hiro. サーフレジェンド所属気象予報士、防災士。 小学校の理科の授業で天気に興味を持ち、大学は海洋気象を専攻。 TV・ラジオでの気象解説や、古民家イタリアレストランの店長などの経験を持つ。 「天気と海、旬の食材と話題を通して季節の移ろいを感じられる」ことを ライフワークとして、メッセージを伝えてゆきたいと思います。

image00

今年はエルニーニョでぐずついた天気となる日が多くなるのでは?と言われていますが、今年も7月に入り、気持ちは盛夏目前といったところでしょうか。

ところで、春から夏へ季節が移るこの時期や、夏の太陽が照りつけた午後など、ともに気をつけたい空模様に“カミナリ”や“ゲリラ豪雨”があります。

とりわけ“カミナリ”は、陸上に居ても危険ですが、海辺や海上での落雷は、一層の危険度が増します。

例えば、海上や海辺のような周囲に背の高いものが少ないなかで、そこに人が立っていれば、カミナリにとっては標的になり得ます。

また、海の中では、水は電気を通しやすいために、例えカミナリが直撃しなかったとしても、水を伝って感電し、溺れて命を落とすこともあるのです。

そもそも、海や海辺は、足元が整地された陸上とは異なり、避難するのに掛かる時間は普段以上に長く、危険な場所と言えます。

ただ、海に限らず、どのようなフィールドでも、危険を事前に知り、自衛する術を知っておけば、楽しい時間を過ごすことが出来ます。

■まず、カミナリはどのように発生するのでしょうか?

image01
1.上空に冷たい空気が入ってきたり、地上の空気が太陽の熱で暖められたりすると、地上の空気が空高く上昇します。
2.上昇した空気中に含まれる水蒸気は、やがて冷やされ水滴や氷の粒となり雲ができます。
3.雲の中では氷の粒がぶつかりあい、プラスとマイナスの電気が生まれます。
4.プラスの電気は雲の上へ、マイナスの電気は下へ集まります。
5.下の方に集まったマイナスの電気は、プラスの電気を持った地面に引き寄せられるように飛び、地面に引き寄せられる時に大きな電気が流れ、大きな音とともに稲妻が走るようになります。このとき、空気の中は電気が通りにくいため、大きな摩擦によって高温となり光ります。

■カミナリやゲリラ豪雨をもたらす雲が近づいているとき、周辺ではどのような変化があるのでしょうか。

image02
1.真っ黒い雲が近づいてきた
2.カミナリの音が聞こえてきた
3.急に冷たい風が吹いてきた

■落雷から身を守るには、どのように避難したら良いのでしょうか。

・海辺や海中で泳いでいる場合
まずは、水から上がって体を伏せて、姿勢を低くしましょう。靴を履いていれば、姿勢を低くしながらできるだけ背の高い防砂林の木立の近くに移りつつも、木の幹や枝・葉からは2m以上離れ、てっぺんを45度以上の確度で見上げられる範囲に避難しましょう。

image03

海では、自分に落雷しなくても、周囲で落雷があると、海中を伝って電気が流れ感電する危険があります。できるだけ早く岸にあがり、避難しましょう。

・船やヨットに乗っている場合
船やヨットでは、体を低くし、エンジンや操舵機器、またマストやアンテナなどから離れましょう。ヨットでは、帆を張っているとロープ等が張り巡らされているので、落雷の電流が思わぬ所に流れる可能性があります。可能であれば、帆を降ろしたり巻いてしまうことが良いですが、無理な作業は厳禁です。

なお、雷鳴が聞こえる距離は、雷光より大体10km程の範囲と言われています。一方、雷雲の大きさや広がりは10km以上になりますので、雷鳴が聞こえた時点では、すでに危険な範囲にいることになり、逆に、雷鳴が聞こえなくなっても暫くは安全な場所で待機して、雷雲をやり過ごしましょう。

どうぞ、この夏も楽しい季節をお過ごしください!

最近の記事

関連する記事