7月16日夜~17日にかけて、台風第11号が西日本に上陸・縦断し、テレビやラジオなどでは、台風に伴う雨や風に対する注意喚起が行われました。これとは別に「高潮による低地への浸水」も注意喚起がされ、その理由に「今は一年で最も潮位が高い時期に当たるため」と解説されていました。
1日に2回ずつ海面の高さが変化する潮汐は知っているけど…、1ヶ月の中で干満の差が大きい大潮と干満の差が小さい小潮があるってのは知ってたけど…1年の流れの中で潮位の変化があるってのは、何なのでしょうか?そう思った方も居られるのではないでしょうか。
その答えは、水温変化に因る海水の膨張や収縮による変化が起こるためなんです。
ここで、月ごとの海水温の変化を見てみましょう。
特に25度以上の赤色の動きに注目すると比較的わかりやすいと思います。4月になると、台湾付近~南西諸島の太平洋岸に北上してきて、7月には四国沿岸付近へと北上します。10月になると、赤いエリアは西日本~関東の南海上は25度以上となっており、夏~秋は海水温が高くなるシーズンと言うのがわかります。一般的に、100mの厚さの水が1℃上昇(下降)すると海水の熱膨張(収縮)により水位が約2cm高く(低く)なると言われており、夏~秋は潮位が高くなるシーズンということがわかります。
この潮位が高くなるシーズンに台風が接近したりすると、気圧の低下による海面上昇や、暴風によって海水が湾内に吹き寄せらたりすることで、さらに海面が高くなり、沿岸の低い土地では高潮の被害に繋がることになります。
ちなみに、気圧が1ヘクトパスカル低くなると、海面は約1センチ上昇すると言われています。加えて、満潮時間が重なると、高潮の危険は一層増す事になり、注意を呼びかけることになるわけです。
高潮の被害は、単に沿岸部の住宅や田畑に海水が入り込むだけでなく、人が波にさらわれることもあるので、高潮が予想される場合には、十分な注意が必要と言えるわけなんですね。