米山予報士のウラナミ『濃霧を求めて』

米山予報士

米山予報士
米山予報士/大学を8年で卒業。その間、勉強などせず、山と海で遊ぶか家に引きこもっていました。当然、就職などまともにできるはずがなく、社会人経験もゼロ。なのに30歳になってしまいました。ただ、山のおかげで天気図に興味をもち、サーフィンをやっていたから気象予報士になれたと思います。サーフィンと気象、波情報の業務を精一杯頑張りたいです。

天気図

7月の台風スウェルが落ち着き、ごく弱いうねりが続いていた湘南を抜けだし、茨城に行ってきました。

僕がサーフトリップに場所を選ぶときに何を基準にするのか・・・それは、波があるというのはもちろんですが、行った地域でしか味わえないような体験をすることを意識しています。

ということで「今回のテーマは濃霧の中でのサーフィン」でした。

この時期、提供ポイントから情報が集まると、千葉以北の太平洋側では濃霧が目立ちます。湘南でチェックをしていると、なかなか視界が悪くなるほどの霧は体験できません。濃霧のためチェック不可というコメントがありますが、乗れないほど全く見えないのかなど、色々想像してもやはり行かないことには分からないことです。

波情報を確認すると、朝を中心に発生していることが多いので、夜明けごろにはポイントに着いておきたいと思い、前日の午後8時に藤沢にある家を出発しました。車を所有していない自分はレンタカーを借りたのですが、「19時から次の人が使うので、絶対18時までに返してください。」とややタイトなスケジュール。早めの行動が肝心です。

横浜新道から東関東自動車道に抜けるルートで茨城まっしぐらです。出発の時間が時間だけに渋滞にはまることも覚悟していましたが、以外にスムーズに流れ、途中で酒久井PAで休憩したのも含め、0時前には鹿島市に到着していました。

ただ、自分は環境が変わるとなかなか寝付けないたちなのを忘れ、せっかく早く着いたのに結局ほとんど寝れず、朦朧(もうろう)とした意識のなかで夜明けごろを向かえました。これじゃいかんと眠気がピークを過ぎ、やや気持ちがハイになったところでお目当てのポイントへ。到着すると周囲には澄み切った青空が広がっていました。

「いや~朝日が赤いね、茨城はなんつって・・・」、これはこれで全然OKですが、当然、気持ち的にはやや落ち気味です。
しかし、せっかくなので入水すると、連日のように吹き続けるオンショアで茶色く濁った海の湘南より水はきれいで、水温は冷たく、気持ち良くリフレッシュできました!

そして、小1時間ほど経つころ、なんと視界が悪くなり、霧が発生してきたのです。最初は海の中にいてもそれほど気になることはありませんでしたが、だんだんと濃くなり、これが濃霧かと実感しました。隣の人が見えなくなるほどではありませんでしたが、セットが入るのが見えづらく、どの波を選んでいいのか分かりづらくなったところでサーフィン終了です。陸に上がり、周りからみるとどんな感じなのか確認すると、入っている時よりも視界が悪く感じられ、チェック不可になる時もあるわな~と納得しました。

霧は何種類かに分けられていますが、海霧の場合は2種類あります。どちらも海と外気の温度差で発生しますが、千葉以北の太平洋側で夏にみられるのは湿った空気が冷たい海面上で冷やされて起こる霧が多いようです。
トリップに行く前日くらいに千葉で働く先輩から一宮の水温が20℃と低くなっているのを聞いていましたので、今回の場合は北海道東海上などの高気圧から湿った空気が入る影響もあって起きた移流霧と呼ばれるものだと思います。サーフポイントの場合はローカル性が強く、そこの特徴を熟知しないとピンポイントの予報が難しいと思いますが、霧のような現象は車での移動やライディング、チェックなどにも影響があるので、海と波に特化した海洋気象会社に勤める者の一人として、知らなければならないことがまだまだ多いと分からされた茨城サーフトリップでした。

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