本州の中部地方の南海上、北緯30度線以南で発生した台風18号は、予想以上に発達しながら北上して愛知県に上陸しましたね。
その日2015年9月9日は、くしくも99(救急)の日。
夜明け前の鎌倉七里ガ浜の波情報を、ベッドの中からスマホでチェックをするものの、まったく台風スウェルは反応していない様子。しかし、気になるので、午前6時に目覚ましをかけてチェックするとサイズアップしてきました。
下段のとおり、波伝説による当日午前中の七里ガ浜のサイズ変化をご覧ください。あまりにも急激にサイズアップしてきたので、当日朝イチチェックのサーフリポーターも、本来七里ガ浜は素通りして次のポイントに行けば良いのですが、急激な波の変化を目のあたりにして【特別入力】を行っていました。
1. 午前3時3分、フラット×
2. 午前5時19分、北やや強めのオフ、ヒザsetモモ▼20
3. 午前6時25分【特別入力】、北やや強めのオフ、モモ腰setハラ▼30
4. 午前6時45分、北-オフ、腰ハラたまに胸近く▼30
5. 午前6時57分【特別入力】、北-オフ、胸肩たまに頭前後△40
6. 午前7時52分【特別入力】、北-オフ、頭たまに頭半▼20、ロングが折れてほぼクローズ
7. 午前9時21分、東南東やや強サイドオン、頭set頭半×10
8. 午前11時24分、南東やや強サイドオン、頭set頭半×0
午前6時過ぎの特別入力情報を見る前に、急激にサイズアップしそうな予想データと自らの感を信じて、私は七里ガ浜ポイントに向かっていました。到着すると、さらなるサイズアップに驚くとともに、コーデュロイのようにはるか沖までラインナップしている台風スウェルの到達の様子を、お客さまと共有すべく5回目の【特別入力】を行ったのでした。
特別入力し、速攻でパドルアウトしましたが、すでに七里ガ浜正面やロアはワイドで良くなくなりつつあり、たまたま切れて掘れたブレイクが出現していた珊瑚礁前のライトの波に賭けることにしました。まだ誰も入っていませんでしたが、何本かライドすると、次第にサーファーがここしかないと集まってきました。
それも束(つか)の間、さらに強まった台風スウェルにより、あっという間に切れた波は中々つかみづらくなってしまい、危険なセットの波数も増えてきたので、小一時間の軽めのサーフィンを終えて、お気に入りの某リーフへ向かうことを決心しました。
七里ガ浜の海から上がると、正面のミドルでロングボードを2ピース(真っ二つ)に折ったロングボーダーが、友人らにサポートされながら上がるところでした。幸い他のサーファーも諦めて海から上がりつつあり、サーファーの事故は防げた模様で安堵しながら、6回目の【特別入力】を、“ほぼ終了です!!”と打ち込んで七里ガ浜を後にしました。
某リーフに着くと、まだサイズは頭前後でサーファーも3人だけでした。それでも諦めることなく、さらなるサイズアップを期待してパドルアウトすると、アウトにはレジェンドTさんご夫婦がいらっしゃいました。流石です。しかし、頭前後のサイズは20分くらいだったでしょうか、その後のセットは入ってくるたびに大きくなり、頭半、ダブルと、そのシークレット本来のバレルを形成するまでになり、T氏は『今年一番の波だねえ!!』The Dayになるのかなと頭をよぎっていると、『でも風(オンショア)が入ってきちゃうんでしょ~。いつごろから吹くの?』と聞かれた私は、『いつ入ってきてもおかしくありません。』とつれない返事をしつつも、心の中では『あと2時間何とかもってくれ~!!』と叫んでいたのでした。
まさかここまでサイズアップするとは思わず、皆の板が短いままでしたが、レジェンドを筆頭にセットを果敢にドロップし、周囲から歓声が上がる最高のステージが出来上がりつつありました。次第に、サーファーの人数が増えて15人くらいになったころでしょうか、沖を航行していたクレーンを載せた台船を引っ張る引き船が、台船とともに近くの港に緊急避難してきました。すでに風が東寄りに振れ始め、このあと東風が強風になると、「我々サーファーがいるリーフに船が乗り上げてくるかも!?」「もしも操船不能となって引き船と台船が流れてきたら、どの方向に逃げたら、また皆をどちらに誘導したら良いのだろうか?」なんてことを考えていたら、何とか船と台船は港に駆け込めたのでした。
そして、ものの10分も経たないうちに、風は東のちに南東風にシフトしつつ一気に強まり、面・波共にジャンクになり、たまにデカ~イクローズアウトセットが入ってくるまでになりました。あの引き船の船長は、きっと心から安堵していたことでしょう。
T夫婦は、早めにサーフィンを諦めて、すでに遠くにパドルバックしていました。判断が早いのも流石です。私も最後の1本の波を捉えて上がろうとしていると、クリーンナップセットが入り、たまたま運悪くそのセットを食らってしまった葉山のレジェンドが乗る真っ赤なサンセットガンが、2ピースになるのを遠くから目撃したのでした。(あすにつづく)