☆加藤のウラナミ『サーフガイド“AKIさん”を偲ぶ』Vol.1

☆加藤

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☆加藤:会社代表であり、波乗りと海が大好きな50代サーファーです。子どもたちに安心安全な海を残すことと、島国などへ高精細な気象情報を提供することを残る人生のライフワークにしました。サーフトリップネタが多くなりますがお付き合いいただければ幸いです。よろしくお願いします。

Excellent wave☆ at the MACARONI.

毎年インドネシアのスマトラ島沖に連なるメンタワイ(諸島)へのボートトリップに通い続けて、今年で5年連続、都合8回目となった。
ある晩に、『THE SURFER’S JOURNAL 24.3』をパラパラとめくっていたら、メンタワイのマカロニリゾートのサーフガイドが執筆したマカロニポイントを巡る最新事情「THE 30-YEAR BRIEF」に目がとまった。

これまで私が書いてきたメンタワイレポートでは取り上げてこなかったことだが、SJで公開されたので敢えて申し上げれば、最近のマカロニでのサーフィンはちょっと複雑な気分になってしまうことがある。3隻目のサーフボートがアンカーを降ろすと、どこからともなくディンギーに乗った村民が現れて、ルール違反だからすぐに移動しろと促されてしまうのだ。時には、眼光鋭く…..
フィジーのタバルアでさえも、今ではだれもが自由にサーフィンができるように一般公開されたというのに….
予め使用料を払って予約したサーフボート2隻のサーファーと、マカロニリゾートに宿泊したサーファーだけが、極上のマカロニの波を満喫できるのだが、まるで予約が取れない人気の高級リゾートみたいになった感じがしてならない。

5年くらい前までは、村人がカヌーでサーフボートに寄って来ても笑顔があふれ、クルーとも仲良しで、簡単な食事をご馳走してジュースをさし上げるくらいだったのだが、今では何人も村人が乗ったスピードボートで現れては、サーフボートは1日につきUS25ドル、リゾート客は1日につきUS1.5ドルを村のコミュニティーに寄付することになったのだ。
それでも、それが原資となって教会が建てられ(メンタワイはインドネシアでは珍しくキリスト教徒が中心)、さらには大型の発電機が購入されたために各家に電気が通って明かりが灯(とも)り、真っ暗となって寝るしかなかった村人の生活が夜になっても家族の団らんの場が続くようになったのだから、サーファーによる地元貢献としては良いことだと言えよう。

シーズン中は40隻ものサーフボートがひしめき合う今のメンタワイでは、過去のようなサーファーの楽園ではなくなっている面は否めない。しかし、ワールドレベルのマカロニやランスライト(HT)のみならず、他にも素晴らしい波に恵まれているサーフポイントが数多く点在しているのがメンタワイの大きな魅力であろう。
船のランクにもよるが、年々サーフボード代が高騰して、今では1泊300ドル以上の船が中心となるものの、景気の良い欧米を中心に訪れるサーファーは増えることはあっても減ることはないようだ。
また、多くの島に大中小のサーフリゾートが建てられ、その多くがサーフボート代に比べて比較的安価なのと、揺れもなく快適に寝られて、リゾートからは毎日高速スピードボートで色々なポイントに行ってサーフィンできるので、最近はとても人気を博しているようだ。
昨年バーガーワールドでサーフした時には、それらの高速スピードボートや漁船をチャーターした欧米サーファーが数多く集まり、とても混雑していたことが多かった。かつては、いつも貸し切りだったのだが……
昨年10月に急逝されたメンタワイのサーフガイドの藤田アキノリ氏こと、通称“AKIさん”が生きていたら、どんな風に思うのだろうかと、ふと彼のことを想い出してしんみりしてしまった。つづく

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