小川予報士のウラナミ『リスペクト』

小川予報士

小川予報士
小川予報士:「波伝説」および海専門気象情報サイト「マリンウェザー海快晴」の概況でおなじみの気象予報士。もともとはヨット部で培われた海の経験を、ウインドサーフィン、サーフィン、SUPなどに生かし、自称ウォーターマンを目指しています。

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 最近、SUPが流行ってきていますが、みなさんのいるところではどうですか?

 自分も実はSUPにはまって、5年位前からやっています。また、最近は、前にも書いたと思いますが、首の調子が悪いので首が上に向けられず、腹這いになって前を向くことができないので、パドリング姿勢を取れず、サーフィンができない状態となっていることもあり、SUPなら何とかパドルで漕ぐこともできるので、SUPばかりやっています。でも、そのせいなのかはわかりませんが、最近は体重が減ってきて、学生時代の体重に近くなってきています。食べる量も減ってきているのもあるかと思いますが、きっとSUPの影響で、常にバランスをとっているのが良いのか、体幹が鍛えられているのもあるのだと思います、と勝手に思い込んでいますが……。周りの人に「最近、痩せたね」と言われるのが、ちょっと嬉しいです。でも、このまま痩せていくばかりかと思ったら、そんなに世の中は甘くはありません。ある一定までは痩せられても、それ以上いくにはさらなる努力が必要なようです。そこまで痩せることに対して執着があるわけではないので、なるがままに任せているきょうこのごろです。

 ところで、SUPの話に戻りますが、最近、自分の周りでもSUPをやっている人が急激に増えてきていて、波があるときには、ショートにロングにSUPと、今までの混雑に輪をかけて混雑してきているのが気になっています。自分も、そうした中でSUPをやってしまっているのですが、何度か危ない目にあったこともあります。それは自分がぶつけようと思っていなくても、相手が予期しない動きをしたり、SUPの動きがまだ理解できていないのか、よけようともせずに向かってくる人もいます。自分ももともとロングやショートをやっているので、相手の気持ちはわかっているつもりですが、相手にもこちらの気持ちがわかって欲しいと思うことも多いです。でも、それは難しいことで、やったことのない人に理解して欲しいと思っていても、なかなかうまくいきません。もちろん、SUPは新参者なので、こちらからよけられるときはよけ、混雑しているところにはいかず、ガツガツ乗ってもいけない、というのもわかっているつもりです。ですから、最近は、波は良くてもできるだけ混雑しているポイントはさけ、空いているところや、SUPしかいないところを狙って入るようにしています。自分の周りでは、ショートやロングとのトラブルの話もよく聞くようになってきました。これだけ多くなってくると、そうした問題も徐々に大きくなってきているような気がします。

 先日も、湘南にある海上保安署からの要請で、SUPやカヌーユーザーに向けた安全活動の資料が届き、それを波伝説などでも啓蒙して欲しいと言われ、波伝説と姉妹サイトのマリンウェザー海快晴に載せたばかりです。(http://www.namidensetsu.com/news/namidensetsu/805
)

 それは、SUPとサーファーとのトラブルもありますが、最近では、カヌー・SUPと漁船等とのトラブルも多くなってきているとのことです。たしかに、SUPが増えているのは、波乗りもそうですが、沖合でクルージングや釣りを楽しんでいる人も多くなってきているようです。これはカヌーもそうですが、沖合にはいろいろな人たちがいて、漁船はもちろん、ヨットやジェットスキー、ボートなどいろいろです。そうした中で一番たちが悪いのは、わざわざ漁船や遊漁船が漁や釣りをしているそばに行ってカヌーやSUPで釣りをしてしまったり、沖合の定置網のところで釣りをしてしまったりすることです。レジャーと仕事とは区別する必要があり、そもそも漁師の方々は、自分たちが釣りなどを始める前からずっと生活するために何代も前から漁をしてきているわけですから、そうした生活の場をあとから入ってきた我々は邪魔してはいけません。もちろん、海は漁師だけのものではないし、漁師の方々に完全に従わなくてはいけないというルールはありません。お互いに安全に、それぞれの立場を尊重した行動が必要と思います。漁師の方々は、中にはレジャーで釣りを楽しんでいる人たちを毛嫌いしている例もあるかもしれませんが、彼らの気持ちも理解する必要はあるかと思います。最近は、漁船からは見えづらいカヌーやSUPなどの衝突事故も実際に起きているのも事実で、なるべく漁船等には近づかないことと、こちらとしてももっと目立つ格好も必要になってきています。カヌーをなさる方々は、オレンジのフラッグを付けている方も多くなってきています。

 SUPは、波があれば波乗りをしたり、沖合に出てクルージングや釣りを楽しむことができ、いろいろな楽しみ方ができるスポーツですが、沿岸にはサーファーがいて、沖合には漁船等がいて、なかなか思うように楽しめないかもしれません。でも、最低限のルールや、それぞれの立場をリスペクトしながら、お互いに安全に楽しめれば、決して悪いスポーツではなく、むしろ、マリンスポーツの入り口となるべく、誰でも海を身近に感じられ、誰でもすぐに楽しめるスポーツだと思いますし、それでいて実は奥が深く、いろいろな楽しみ方ができる素晴らしいスポーツだと思います。

 どんな社会でもルールとマナーがあると思いますので、そうしたものを守りつつ、みんなで楽しめればもっと海は安全で楽しい場所になると思います。SUPをやっている人でも、これからやろうと思っている人でも、また、やっていない人でも温かく見守りながら、伸ばしていきたい分野だと思います。もちろん、自分も十分に気を付けてSUPを続けて行きたいと思います。

小川予報士

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