小川予報士のウラナミ『伊東クルージング』

小川予報士

小川予報士
小川予報士:「波伝説」および海専門気象情報サイト「マリンウェザー海快晴」の概況でおなじみの気象予報士。もともとはヨット部で培われた海の経験を、ウインドサーフィン、サーフィン、SUPなどに生かし、自称ウォーターマンを目指しています。

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先日、マリーナ専用の気象情報システムである「マリーナマスター」を導入していただいているマリーナのひとつである横須賀市浦賀にありますシティマリーナヴェラシスの主催で、伊東クルージング&レースに行ってきました。と言っても実際に自分がヨットレースに参加したわけではなく、今回は昨年同様に気象情報のサポートということで気象予報士として本部船に同乗させていただいてきました。

クルージング

クルージング

まず初日は浦賀から伊東までのクルージングに出かけたのですが、この日は梅雨の合間の晴れ間ということで朝から快晴で、気温もぐんぐんと上がり、まさに夏のような日でした。ただし、波は前日までの低気圧や台風6号から変わった温帯低気圧からの南西寄りのうねりが残り、胸サイズのセットがあるコンディションだったので、夜明け前に起床して1時間だけ、1ラウンド入ってから浦賀へ向かいました。

潮が多く割れづらく、セット間隔は長いのですが、たまのセットを選べばそこそこショートライドができる波もあり、1時間だけでしたが、それなりに楽しめました。ちょうど海から上がるときにはやっと太陽が昇りはじめたときだったので、それからサーファーが増えてきていたようです。

さて、浦賀のシティマリーナに着くと、早速本部船であるボートに乗り込み、伊東へ向かいました。まだ東京湾を走っているときにはそうでもなかったのですが、城ケ島に近づいてきた頃から急に南西からのうねりが高くなり、おそらく1.5~2m前後はあったかと思います。しかも、そのうねりも次から次に入ってきていて、まだまだうねりはしっかりとしていたので、きょうもサーフィンは十分にできるのだろうと、うらやましい気持ちもありながらも、目の前に広がる相模湾がとても綺麗で、その光景に見とれていました。

いざ伊東へ

いざ伊東へ

昨年行ったときには、途中でイルカの群れに会い、しばし一緒に走っていたのですが、今年はイルカには会えませんでした。でも、鳥山がすごく、魚はたくさんいたようで、漁船や遊漁船もたくさん海に出ていました。釣りをすれば、きっと大漁だった気がします。

そんなことを考えながら、きょうの目的地である伊東サンライズマリーナへ到着し、その後は、伊東での盛大な前夜祭を終えてから、温泉に暖まりながら、寝不足と疲れで限界に達した体を癒し、布団の中へ沈んでいきました。

伊東サンライズマリーナ

伊東サンライズマリーナ

さて、次の日はいよいよ伊東からきのう出発したシティマリーナヴェラシスまでのヨットレースです。というものの、きのうの夜はまだ強かった南西風はすっかり弱まり、弱い南寄りの風が吹いているだけだったので、スタート地点を初島沖までずらしてのスタート。スタートしてからしばらくすると、今度は弱い北東風に変わり、微風ではあるものの、何とかすべての船が前に少しずつ進んでいるという感じでした。

途中は全くの無風に見舞われましたが、レース後半になると西寄りの風が吹きだし、その後は南西風に変わってきました。予報では、北東風から徐々に東~南東寄りに変わり、最終的には南~南西寄りの風に変わる、ということをレース関係者はもちろん、レース参加者にも伝えていたので、やばい、予報が外れている、という焦りもあったのですが、こればっかりはどうしようもありません。おそらく、予報のときには出ていない小さな気圧の谷などの影響で、そうなったのかもしれません。まだまだ勉強が足りないという実感を抱いた瞬間でした。

ゴール地点については、最後まで風は強まることはなさそうだった(これは予報通り)ので、ゴール地点であるシティマリーナヴェラシスを城ケ島沖までずらし、これまたコース短縮ということになってしまいましたが、夕方の午後5時までのタイムリミット前には全ヨットが無事にゴールすることができました。

レース

レース

天気は快晴でしたが、風は終始弱く、また、うねりも多少残っている中での非常に難しいレースにはなりましたが、参加者の皆さんのレース終了後の笑顔はとてもさわやかで、優勝したメンバーも、そうではなかったメンバーも、みんな同じように素晴らしい顔をしていたのがとても印象的でした。

今回、気象サポートとして参加させていただきましたが、このレースは、小さいヨットから40ft以上もある大きなヨットまで、誰でも気軽に参加できるとても面白いレースで、なかなか同じ環境でこれだけのヨットが集まるレースはあまり見たことがありません。

みなさんももしご興味あれば、一度ヨット体験してみませんか。たまには沖合に出て、周囲を海に囲まれた大海原に出てみると、自分の存在がいかに小さく、なんでもないことで悩んでいた自分に気が付くかもしれません。自分はいつもそうですが。

これからも機会があれば、こうしたイベントに参加して、そのときにいるみんなと同じ気持ちを共有したいと思っています。

小川予報士

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