小川予報士のウラナミ『サバニ帆漕レース』

小川予報士

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小川予報士:「波伝説」および海専門気象情報サイト「マリンウェザー海快晴」の概況でおなじみの気象予報士。もともとはヨット部で培われた海の経験を、ウインドサーフィン、サーフィン、SUPなどに生かし、自称ウォーターマンを目指しています。

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先日、621()22()にかけて、沖縄県座間味島にて毎年開催されている「第15回サバニ帆漕(はんそう)レース」のオフィシャル気象情報提供のため、座間味島へ行ってきました。

サバニ帆漕レースのオフィシャル気象情報としては、今年で5年目になるのですが、自分が実際に座間味島へ行くのは初めてで、今まで非常に失礼ながら、湘南からリモートにてサポートさせていただいていました。でも、やはり現地の様子を見ながらではないと、細かい気象情報はわからないので、いつもはがゆい感じがしながらのサポートでした。今回は、ちょうどおなじ時期に沖縄の那覇にてダイビングのイベントと重なっていたので、合せて行くことができました。

今回、初めて座間味島へ行ったのですが、まず思ったのは、海が綺麗すぎ、ということ。

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今年の3月に慶良間諸島およびその周辺海域が国立公園に指定されたこともあり、なぜ今まで国立公園に指定されていなかったのが不思議なくらいに綺麗な海でした。そのブルーは、ケラマブルーとも呼ばれ、今や世界中にその名前は知れ渡り、ダイバーの間ではかなり有名な海域のようです。その海を目の前に、今までに見たことがない海の青さに感動してしまいました。

さて、21()の初日は、ちょうど、自分が行く前日まで梅雨空が続いていたせいで湿度はかなり高かったものの、普通に歩いているだけで汗がダラダラと垂れてくる沖縄本島に比べ、こちらの座間味島はとてもさわやかで、まるで沖縄本島と比べても異国の地に来たかのような感じでした。そして、まるで梅雨明けを思わせるような真っ青に晴れ渡った青空に覆われていましたが、風は南西風が10m/s程度で吹き、那覇港のとまりんから座間味島までの約30分程度の船はかなり揺れ、途中白波がかなり多く見え、その荒れた外洋を見ていた自分は、本当にあす本レースができるかどうか、とても不安になっていました。

本レースの前日となる初日は、マリリンカップというプレイベントが行われ、参加は自由なのですが、船が置いてある座間味島の港から、サバニ本レースのスタート地点となる古座間味ビーチまで、近くの島を回ってゴールするという、島内ミニレースです。自分もこのマリリンカップのゴールとなる古座間味ビーチへ早速行ったのですが、そこはさらに日本ではないような真っ青な海に真っ白な砂があり、ビーチから潜ればすぐ近くに熱帯魚なども見ることができ、サバニレースに毎年参加している参加者の中には、ゴーグル持参でまずは潜らないと、という人も少なくありませんでした。

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その日はマリリンカップに参加した船や、それ以外の船もあすのレーススタートとなる古座間味ビーチに集合し、すべての船が集まったのはもう夕方でしたが、その光景は圧巻でした。

前夜祭が始まる前には、あすの本レースに参加する艇長会議が行われ、そこで自分もオフィシャル気象予報士として、あすの気象状況について解説させていただきました。でも、その内容は、かなり深刻で、きょうの風と同じくらいの強い南西風が吹き続くのと、風波もさらに大きくなることが予報されていたので、そのことを伝えました。もし、風も波も強い場合には、コースを短縮して、島内レースとなることも事前に大会事務局の方と打ち合わせをしていたので、そのことも伝えましたが、やはり参加者の方たちは、どうせなら那覇まで漕ぎたい、という気持ちがとても強いということがわかりました。ただし、参加者のどのレベルに合わせるか、ということが、非常に難しい問題なのですが、やはり安全性を考えると、慎重に決める必要があるとのことで、レース当日の朝には、まずは海上を確認しつつ、判断するということで、納得していただきました。

さて、その日の夜は、レースのコースがどうなるかまだわかりませんが、地元の唄と踊りで、かなり盛り上がっていました。

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日付が変わって本レースの当日の早朝、自分は大会事務局の方と一緒にボートに乗り、海上まで見に行ったのですが、朝から南西風は強く、島の影から外洋に出たすぐの場所でも、かなり荒れていて、那覇までのコースはかなり厳しいという印象を受けました。その後、港に帰ってきてから、今回の大会副委員長である座間味村長の部屋がある役所に関係者が集まり、至急協議が行われ、レース参加者のエキスパートであれば走れるものの、経験の浅い参加者には厳しいという判断のもと、安全性を考慮して、コース短縮が決定されました。

すぐに島内放送でコース短縮が放送され、島全体で今回のレースを盛り上げていることもわかったのですが、参加者の落胆する姿もすぐに思い浮かびました。でも、スタートする午前9時にはみなさん元気な顔でスタート地点に集まり、大会事務局側の判断を素直に受け入れている様子がわかり、大会関係者も少し安心していました。

コース短縮と言っても、島内でもかなりの風で途中には結構厳しい場所もあったのですが、39艇中のほとんどの船がフィニッシュでき、かなりそのレベルは上がっていることがわかりました。

表彰式、および後夜祭は那覇港のとまりんで行われたのですが、盛大に行われ、みなさん充実した顔をしていたのですが、ぜひ来年は那覇まで漕ぎたい、という気持ちが強く表れているのがわかりました。

今回参加した最年少の地元座間味中学校の海学校のメンバー

今回参加した最年少の地元座間味中学校の海学校のメンバー

優勝したざまみ丸

優勝したざまみ丸

今回初めて参加させていただき、沖縄や座間味島の海の素晴らしさや、沖縄の方たちの暖かさに実際に触れることができ、とても良い経験ができたと思います。来年は、もし機会があれば、レースにも参加したいという気持ちになりましたが、参加者の方たちのレベルが高いので、相当のトレーニングが必要のようです。みなさんも、もし機会があれば、座間味の海へ行ってみてはいかがでしょうか。

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