小川予報士のウラナミ『青春のビーチ』

小川予報士

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小川予報士:「波伝説」および海専門気象情報サイト「マリンウェザー海快晴」の概況でおなじみの気象予報士。もともとはヨット部で培われた海の経験を、ウインドサーフィン、サーフィン、SUPなどに生かし、自称ウォーターマンを目指しています。

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先日、波伝説と姉妹サイトであるマリンウェザー海快晴のフィールドプロモーションのために、神奈川県横須賀市にあるカヌーショップに行ってきたときの話です。そのカヌーショップは、実は、自分が大学時代ヨット部のときのほとんどを過ごしたと言っても過言ではないビーチの横にある漁港のすぐそばにあり、いつもそこに行くとあのころの想い出がきのうの日のようによみがえってくるので、とても楽しみにしています。

その日も、そうした想い出に浸ろうと、カヌーショップへ行き、マリンウェザー海快晴のチラシをいつもと同様に快く置いていただき、しばし海のことや最近のカヌーのお話をさせていただいていました。と、その前に、そのカヌーショップへ行くときにいつも停める無料の駐車場があるのですが、そこに車を停めた際に、ふと、もともと自分がヨット部時代にヨットを置いてあったビーチを何気なく見たのですが、「あれ、こんなにここのビーチって狭かったっけ?」と思いました。よくよく見てみると、たしかにそこには、当時にはなかった堤防や、人工の敷石などがビーチに並べられてはいたのですが、自分たちのヨットを置いていた場所には、ほとんどビーチがなく、台風などが来た際には、そこのビーチはおそらくほとんど水没してしまうのではないかと思うくらいに狭かったのです。

あのころ、練習から上がったあとは、ヨットをビーチの上まで運ぶのにかなり距離があり、みんなで担いでは、途中で休むことさえありました。ただし、あまり休んでいると先輩から「いつまで休んでいるんだ!」という激が飛ばされ、休む間もなくビーチの上まで運び、いつもヘトヘトになっていたのを覚えています。しかも、自分が乗っていたヨットだけではなく、先輩が乗っていたヨットや、コーチが乗っていたボートまでも後輩たちはみんなでそれらを運ばなければなりません。そのことを思うと、いつも憂鬱になり、練習は楽しいが、後片付けのことだけは、考えたくない、といつも思っていました。

ヨットやボートを運んだあとには、洗濯、炊事、道具の手入れ、その日の反省会など、夜は夜で盛りだくさんあります。朝も早く、早朝のジョギング(自分にしては、朝からダッシュの繰り返しでしたが)から始まり、午前、午後の海上トレーニングなど、普段の練習や合宿中は、海やヨットのことだけで精一杯で、彼女、彼氏のことなど考えている暇もない、という感じでした。でも、それがあのころはなぜか楽しく、毎日がとても充実していて、いつも真っ黒な日焼けした顔で大学生活のほとんどをこの合宿所で過ごし、合宿所から大学へ通っていたくらい、かけがえのない4年間、いや自分の場合5年間でした。

でも、今では、そんなかけがえのない青春(くさい?)を過ごした合宿所(もちろん合宿所だった雨漏りのするスーパーボロ家はすでに改築され、今では普通の民家になっています)があるこのビーチには、ヨットをヘトヘトになるくらい運ぶ距離すらなく、おそらくビーチに上がったら、すぐに運べてしまうくらいのわずかな距離です。しかも、ちょっとした低気圧や大潮の際には、ヨットは置いておけないくらいのスペースしか残っていません。なんだかとても寂しい気持ちになってしまいました。

カヌーショップの方に、そのことを話すと、以前に比べるとやはりだいぶビーチは狭くなり、その延長線上に堤防や敷石をビーチにしているようなのですが、それが良いのか悪いのかは、まだわからない、と言っていました。確かに近くのビーチを見ても、だいぶ狭くなっていて、養浜を毎年のようにやっているビーチもあるようです。

自分がヨット部で過ごしたのは、今から約25年程度前の話になりますが、たしかに自然が変化するのは当たり前かもしれませんが、それでも、当時の面影があまり残っていないというのはとても寂しくなります。ほかの場所も同じかもしれませんが、これ以上、自然は自然のままに残し、子供たちや後世につなげていくことがとても大事だと、改めて思いました。

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